前々から書こうと思っていた金型の話

今回は非常に長くなります。かなりカラい内容ですよー。

時々「ガオファイガーは金型射出成形で作ったら安くなると思いますがどうですか?」等のメールをもらいますので、この場を持って説明をさせていただきます。

結論から言うと「4千万円程の現金をいつでも使えて、なおかつ1個も生産できなかった上お金を生産業者に持ち逃げされるリスクも全然気にしない」という状況なら可能だと思います。

金型は作るにはとてもお金がかかります。いくらかかるか知ってますか? 1個数百万円もかかるそうです。

この投資したお金は、大量に商品を成形して販売することができるのでその分利益を分散させて回収することが出来ます(売れれば)。いわゆる薄利多売というやつですね。これが金型による製品が安い理由です。ただ、部品の数=金型の数ということになりますので大きい物やパーツ数の多い物は金型を作る際の初期投資に莫大な金額がかかる事になります。ウチの「ガオファイガー」は非常に複雑でデカいので、上に書いたぐらいの金額は必要になると思います。

ウチはバンダイさんやタカラさんのような大会社ではないので、こんな物凄い額のお金は右から左にポッとは出せません。もちろんパーツ数を減らせば必要な金型の数も減ってお金もかかりませんが、そのかわりおっそろしくヌルい物になります。究極を目指している本来のコンセプトとは大きく外れた物になってしまい、そんな物はウチがやる意味はありません。

さらに、現在では国内で金型を起こしてくれる業者がいないため、中国に頼らざるを得ません。これが非常にリスキーなのです。金型の代金は先に投資しなければいけないうえ、現地の仕事の状況は把握しづらく、ちゃんとした商品が出来上がる保証はどこにもありません。現地工場との直接の強力なパイプがあればよし、ウチの場合は日本国内の会社に仲介を頼まなければならず、最終的には担当の人物が途中で行方をくらまして終わりでした。

幸いウチの場合は金型代を支払う前だったので直接の被害はありませんでしたが、件の担当が工場の段取りをするのを「待って」いる分だけ発売の時期が遅れたことによる間接的な被害はかなりの金額にのぼりました。(何もしなくても時間が経つだけお金は出て行きますから。)

結局その人物からの連絡は途絶え、これ以上「待つ」と本当にヤバいと思い通常の方法に大急ぎで切り替え、なんとか発売にこぎ着けました。これが『完全変形CV真ゲッター2』の発売が遅れに遅れた理由です。(もう1年近くは経ってるので話しちゃってもいいでしょう。当時のお客さん、ごめんね。)

加えて言うとガオファイガーの開発もこれの影響を少なからず受けています。例の人物からは現在に至るも連絡はありません。中国人云々以前に日本人が信用できないのです。背筋が寒くなるぐらいリスキーでしょう?

以上がガオファイガーを金型でやれない理由です。やりたいのはやまやまなんですが、金型で作って安くしろ! とか言われても「自分の会社の野球チームを優勝させたいから、ヤンキースから松井を引っ張って来い」というぐらい無理っぽい話なんですよ。

とりあえず現状の選択肢では今まで通りのやり方で生産せざるを得ません。高額商品になってしまい、お客さまの立場からすると大変なのは重々承知しておりますが、作品を気に入ってくれたなら高くても買ってくれる、という心意気を持っている方は是非お願いいたします。

by 高島

高島 肇 について

スタジオ・ハーフ・アイ代表にして大黒柱の原型師。変形ギミックに命を懸ける、まさに変形の鬼。代表作:完全変形ゲッターロボなど多数。
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